ここ

 


過去も未来もなく「現在」だけを見つめて生きていた瞬間が、

私にもきっとあったのだと思う。


しかし今となっては、ただ "今だけ" に身を置くことが驚くほど難しい。

たとえそれが明るく、幸せなものだったとしても、

積み重なっていく過去と形の見えない未来に圧倒され、

身動きがとれなくなる自分がいつもどこかにいる。

「今そこにないもの」について考えることが、私はとても苦手だ。


『ここ』という曲は、

一年以上も前に布団の上でふっと生まれた。

短い曲なので、セットリストの一曲目に置くことが多い。


振り返ってみれば、私はこの曲を歌うことで、

過去と未来の間で揺らぐ自分を

そっと「現在」に引き戻していたのかもしれないと思った。


時を経て、曲は自分の手もとから少しずつ離れていく。

その過程で、自分で書いた歌詞は別の表情を見せてくれたりする。

私自身も刻々と変化をしつづけている確かな証拠だ。


気がつけば、自分にとってこの曲がとても大きな存在になっていた。


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